家族の価値観シート
記入用の白紙のシートを印刷
本に掲載された、このシートの説明(PDF)
本の説明をこのページで読む
家族の価値観シート:本書の解説
思い出すことが強い苦痛につながるなら、無理に続ける必要はありません。一人で考える方法に切り替える、いったん中断する、または心理的な支援を行う資格のある専門家に相談する選択があります。
価値を、大人の行動に置き換えます
「尊重」「責任」「思いやり」「自立」といった言葉は、人によって意味が違います。「尊重を大切にする」と決めるだけでなく、むずかしい日に何をするのかまで考えます。たとえば、「返事をする前に一度止まる」「人を笑いものにしない」「断る理由を聞く」のように表せます。
子どもに責任を持ってほしいなら、年齢やその子の使える方法に合った役割を考え、必要な助けも決めます。大人が守らない価値を、子どもだけに求めることはできません。「自分の物を片づける」を大切にするなら、大人も共有の物を元の場所に戻し、子どもがまだ一人でできない部分には手を貸します。
親には子どもを導く役割があります。同時に、幼い子どもも権利を持つ存在です。大人の希望は、子どもの尊厳、安全、発達と、育つにつれて表せるようになる意見を無視できません[1.4]。この国際的な文書が、すべての国で同じ法律上の手続きや救済を定めているわけではありません。
家庭の価値観は、文化、信仰、地域、世代、生活条件によって形づくられます。どれか一つの価値の並びを、よい親やよい子どもの世界共通の基準にすることはできません。ただし、文化や伝統を理由に、暴力、屈辱、差別、必要なケアを受けさせないことを正当化することもできません。
一度に選ぶ価値は、4つまでで十分です。それぞれについて、大人ができる行動を一つ、家族の誰かに必要かもしれない調整を一つ、大人が間違えたときの言葉を一つ考えます。話す、書く、絵にする、口述して誰かに書いてもらうなど、使いやすい方法を選べます。
思い出を残す前に、公開する範囲を決めます
子どもの成長を記録することと、子どもの生活を公にすることは同じではありません。まず、大人が共有してよいもの、子どもの理解や意思表示が育つにつれて本人の参加が必要になるもの、家庭の外には出さないものを分けます。
健康に関する詳しい情報、強く動揺している場面、学校での問題、入浴やトイレの画像、あとで本人が恥ずかしいと感じるかもしれない話は、公開しない側から考えるのが慎重です。個人的な保存場所にも紛失や無断閲覧の危険はあるため、「非公開なら必ず安全」とは言えません。子どものデジタル上の存在、同意、保存記録、サービスのプライバシーについては第33章で詳しく扱います。
オフラインでできる小さな手順
一緒に取り組む大人がいる場合は、最初から答えを合わせず、それぞれが「残したいこと」「変えたいこと」「まだ決めないこと」を一つずつ考えます。そのあと、共通点と違いを話します。一人で取り組む場合は、自分だけで進めても、信頼できる人に一項目だけ相談してもかまいません。
次に、家庭で大切にしたい価値を4つまで選びます。それぞれを、大人が実際にできる行動へ置き換えます。必要に応じて、年齢、障害、使える言葉や感覚、疲れ、生活時間に合わせた調整も考えます。さらに、大人が守れなかったときに使う言葉を用意します。
最後に、次の1週間で試す小さな行動を一つ決め、話を見直す日も決めます。たとえば、「夕食中に一人一度は途中でさえぎられずに話せるようにします。1週間後に続け方を考えます」とできます。書くことが負担なら、声に出して確認する、録音する、絵や記号を使う、信頼できる人に書いてもらう方法があります。
この手順は、子どもの服従を測るテストでも、大人同士の相性を採点するものでも、相手に不利な記録を作るためのものでもありません。印刷して使いたい場合は、家族の価値観シートがあります。インターネットやシートがなくても、ここまでの手順だけで進められます。
一緒に話さないほうがよいとき
日常的な意見の違いなら、会話を止め、落ち着いてから再開できます。しかし、恐怖、監視、報復のおそれ、誰かに支配されている状況、または暴力がある場合は、共同作業にしません。見つかると危険なメモも残しません。必要に応じて安全な端末や連絡方法を選び、危険にさらされている人がいる場所で利用できる、秘密を守る暴力や支配への専門的な支援窓口につながります。詳しい支援の組み立ては第5章で扱います。
危険が差し迫っているときは、シートや話し合いを続けず、危険にさらされている人がいる場所の緊急の窓口に連絡します。親と子どもが同じ場所にいるとは限りません。子どもの保護、暴力、通報義務、プライバシーに関する法律上の定義と窓口は地域によって異なるため、その場所の公的な案内や秘密を守れる専門的支援で確かめます。危険な相手と安全について交渉することは勧めません。
記入シート:parentingstagebystage.com/ja/shiito/kazoku-no-kachikan/
使い方
- 印刷するか、見出しを手元の紙に書き写します。どちらでも同じように使えます。
- まずは、子どもの世話をする大人どうしで始めます。すでにお子さんがいるなら、その子に合ったやり方で考えを聞いてください。話す、絵をかく、誰かに書いてもらう、どれでもかまいません。出てきた考えは「残していきたい考え」の欄に書きます。大人が言いかえるのではなく、本人が使った言葉のままで書いてください。
- 次に表の欄へ移り、一緒に価値観を4つまで選びます。最初は1つで十分です。選ばなかった考えは却下したのではなく、また別の機会に話すためのものです。自分が出した案を、誰かが弁護する必要はありません。
- それぞれについて、いちばん大事な欄を書きます。家族が実際にしていることとして、ほかの人の目に見える行動です。「やさしさ」は、ただの言葉です。「返事をする前に、まず最後まで聞く」は、目に見える価値観です。
- 誰かができなかったときに大人がかけられる言葉を書き、今週の小さな一歩と、次にこのシートを見直す時期を書きます。そこで終わりです。やることはこれだけです。
画面でシートを見る
わが家が大切にしたいことは?
始める前に
落ち着いているときを選びましょう。書く、話す、絵をかく、誰かに代わりに書いてもらう、どの方法でもかまいません。
赤ちゃんを迎える準備中なら、その子の世話をする大人どうしで始めます。お子さんが参加できるなら、その子に合ったやり方で考えを聞いてください。
残していきたい考え
自分が子どもだったころ、支えになったことは何ですか?これからは違うやり方にしたいことは何ですか?
実践したい価値観
一緒に4つまで選びます。最初は1つで十分です。「やさしさ」のような価値観は、「返事をする前に、まず最後まで聞く」のように行動の形で書くと、ぐっと使いやすくなります。選ばなかった案は、また別の機会の話し合いに残しておきます。自分の案を弁護する必要は、誰にもありません。
わが家の価値観
できる行動
助けが要りそうなとき
できなかったとき
大人がかけられる言葉の例です。「話の途中でさえぎって、ごめんね。今から聞くね。」
わが家の言葉
関係を立て直す方法を一つ
小さな一歩と、次に見直すとき
今週やることを一つと、このシートに戻ってくるタイミング。
今週の小さな一歩
次に見直すとき
シートをしまう前、貼り出す前に
貼り出すのは、関わる全員にとって安全な場合だけにしてください。このチェック欄は確認のための任意のメモで、テストではありません。
- 何か加えたかった人は全員、それを伝える方法があった
- どの価値観にも、実際の行動を書いた一行がある
- 大人も同じ言葉で、これを守る側にいる
- 子どもだけに向けたルールは、シートに一つもない
- 小さな一歩と、次に見直すときを書いた
この価値観は、大人にもあてはまります。実践のしかたは、一人ひとりに合わせて変えてください。これは家族の話し合いであって、言うことを聞くかどうかを試すものではありません。
一緒に話し合うことが安全でないとき
このシートは、家の大人どうしが何かに合意し、それを書き残すことを求めます。価値観の話し合いが役に立つのは、全員がこわがらずに参加できるときだけです。共有したメモ、意見の違い、断ったことがきっかけで、見張られる、仕返しをされる、誰かに支配される、暴力をふるわれるおそれがあるなら、このシートを一緒に書かないでください。まずは、いまいる地域で、秘密を守って相談にのってくれる人や窓口を探してください。誰かにいますぐ危険が迫っているなら、いまいる場所の緊急の窓口に連絡してください。このシートを仕上げるために、暴力をふるう相手と自分の身の安全をめぐって交渉する必要は、誰にもありません。
このシートがしないこと
- 何を大切にすべきかは教えません。正しい組み合わせはなく、点数をつけることも、ほかの家族とくらべることもしません。
- 行動を管理するしくみでも、ごほうびシールの表でも、しつけの方法でもありません。
- 価値観を書いただけで、家の中でそれが本当になるわけではありません。本当にするのは、その下の欄、つまり実際に何をするかを書いた一行です。
- 大変な場面のさなかにどうするかは、このシートでは決めません。それは別の役割で、このサイトのツール「落ち着きと仲直りの計画」が受け持ちます。このシートに書いておけるのは、そのあとで大人がかけられる言葉と、関係を立て直すための一つの方法です。
プライバシー・出典
このページには入力欄がありません。何も入力されず、保存も送信もされません。印刷は、お使いのブラウザーを通して行われます。
関連するツール
このシートの出典
- WHO guidelines on parenting interventions to prevent maltreatment and enhance parent-child relationships with children aged 0-17 years
World Health Organization. このシートの背景にある、人と人との関係についての一般的な原則を支えます。この記入シートそのものを評価したものではありません。
- Meta-analysis of emotion socialization interventions
PubMed. 子どもの気持ちへの大人の応じ方は、教わって身につけられるという考え方を支えます。対象は、1歳6か月から6歳11か月の子どもの親です。調べたのは支援プログラムであって、このシートではありません。