家族でAIを使って学ぶ
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家族でAIを使って学ぶ:本書の解説
AI(人工知能)を使うと、整った文章や答えがすぐに出てくることがあります。しかし、学習の中心に置きたいのは、出力の見栄えではありません。AIの利用を終えたあとも、お子さんが自分で考え、説明し、新しい課題に取り組めるかどうかです。
この章の流れは、どの年齢にも同じ形で当てはめる方法ではありません。課題の目的、お子さんの準備の状態、学校の指示、アクセシビリティ、使うサービスによって変わります。利用年齢に達したことは、発達上の準備が整ったことを意味しません。使えることと、使ってよいこと、今その子に向いていることは別の判断です。
AIに最初の質問をする前に、4つのことを確かめる
4つのことを一つずつ確かめてください。一つ確認できても、残りが自動的に解決するわけではありません。
確認1(利用の許可)では、使おうとしているサービスとアカウントの種類を特定します。年齢条件、親の許可、対象地域、学校用か一般消費者向けかを確認します。成人がそばにいても、年齢条件やアカウントの条件はなくなりません。成人のアカウント情報をお子さんに渡すことも、成人が学習活動を進行することとは異なります。
たとえば、OpenAIの2026年8月19日付の案内では、13歳未満の子どもによる単独利用を想定せず、その年齢の教育的なやり取りは成人が行うものとしています。13〜18歳には親または保護者の同意を求めています。[34.3] 欧州経済領域、スイス、英国向けの2026年1月16日付の利用規約では、最低13歳またはその国で同意できる最低年齢という条件が示されています。利用する国でどちらの年齢条件が適用されるかは、同じ規約で確認してください。18歳未満には親または保護者の許可が必要です。アカウント情報の共有も認めていません。[34.4]
別の提供元には別の条件があります。Anthropicの2025年10月8日付の消費者向け規約は、欧州経済領域とスイスの対象利用者について最低年齢を18歳としています。この条件を他の地域、学校向けサービス、企業向けサービスへ広げることはできません。[34.5]
GoogleのGeminiでは、個人、学校、職場、保護者が管理するアカウントで利用方法が分かれます。案内の公開日を示すものではありませんが、2026年8月25日に内容を確認した時点では、保護者がFamily Linkを通じて一部の利用を有効にできる地域や端末がある一方、欧州経済領域、スイス、英国では、その監督付き経路が利用できないと案内されていました。一部機能が使えず、安全フィルターも完全ではありません。[34.6] また、同じ日に確認した別の案内では、Family Linkで管理されるアカウントは、別途説明されているウェブ版を利用できません。学校アカウントには管理者による有効化が必要で、職場アカウントには18歳以上という条件があります。[34.7] 条件は変わる可能性があります。利用前に、現在の国、端末、アカウント、機能の組み合わせを確かめてください。単一の年齢だけでは判断できません。
確認2(プライバシー)では、お子さんがいる場所の法令、データ処理の根拠、提供元の方針を分けて考えます。氏名、健康記録、学校の識別情報、私的な会話、顔が分かる画像、他人の未発表作品は入力しません。名前を消しただけで、必ず匿名になるとも限りません。
国ごとの差を示す一例がフランスです。フランスの法律では、本人の同意を根拠とする直接的なオンラインサービスのデータ処理について、15歳以上の未成年者は単独で同意でき、15歳未満では子どもと親権を持つ人の共同同意が必要とされています。[34.8] ただし、この規定はあらゆるAI利用を許可する年齢ではありません。フランスのデータ保護当局も、同意に基づくデータ処理、オンライン契約、子どもの成熟度と意思決定への参加を区別しています。[34.9] 案内の公開日を示すものではありませんが、2026年8月26日に内容を確認した時点では、Googleアカウントを自分で管理できるフランスでの年齢として15歳が示されていました。それでも、Geminiのすべての機能を使えるという許可にはなりません。[34.10]
確認3(学校の決まり)では、今回の課題でAIが許されているか、どこまで使えるか、どのように申告するかを先生や学校の指示で確かめます。学校が採用するサービスでは、学校側にも処理の法的根拠、子どもに分かる説明、提供元や国外移転の評価などが必要になる場合があります。フランスの学校向けデータ保護案内は、同意を根拠にするなら、不利益のない実質的な選択肢を用意することも求めています。[34.11]
フランスの2025年の教育枠組みでは、年齢段階に応じた学校利用を示すとともに、明示的な許可も内容の自分なりの理解もない宿題利用を不正として扱っています。公開型の生成AIサービスへ個人情報や秘密情報を入れないこと、生徒に一般消費者向けアカウントの作成を強制しないことも示しています。[34.12] これはフランスの学校制度における例であり、他の国や学校にはそれぞれの決まりがあります。
確認4(準備)では、お子さんが今回の課題を理解できるか、AIの限界を受け止められるか、必要なときに大人や先生へ相談できるかを見ます。読み上げ、入力方法、通信環境、使っている支援技術との相性も含まれます。使わないという本人や家族の選択も尊重します。欧州委員会の教育者向け指針も、情報を得たうえで選べること、アクセスやアクセシビリティを考えること、AIを使わない課題やオフラインの手段を用意することを検討事項に挙げています。[34.13]
4つのことを確かめて、一つでも問題があるときは、AIを使わない経路に切り替えます。本、先生、図書館の資料、電卓、音声入力、紙の例題、またはAIを使わない大人主導の活動があります。機器やインターネットがない場合だけでなく、プライバシー、アクセシビリティ、学校の決まり、家族の選択を理由に切り替えてもかまいません。
学びを残す5つの動き
利用できると判断したら、「試す、尋ねる、比べる、説明する、確かめる」の順で進めます。これは効果が保証された一律の指導法ではなく、AIの利用を終えたあとに何が残ったかを見るための実用的な流れです。
試す。 まず、お子さんが自力で取り組みます。短くても、途中で止まってもかまいません。何を知っていて、どこで分からなくなったかが見えることに意味があります。
尋ねる。 完成した答えではなく、次の一歩に必要な範囲だけを尋ねます。「最初の手がかりを一つください」「この式のどこを見直せばよいですか」「似た例を一つ示してください」のように、助けを限定します。
比べる。 自分の試み、AIの出力、先生の方法や承認された資料を並べます。違いがあれば、どちらがもっともらしく見えるかではなく、根拠を確かめます。
説明する。 お子さん自身の言葉、絵、式、身ぶり、音声など、使いやすい方法で考え方を表します。文字や記号、機器などで意思を伝える補助代替コミュニケーション(AAC)も、その選択肢の一つです。速い入力、標準的なつづり、発話、視線を合わせることを、理解を示す唯一の方法にはしません。
確かめる。 AIの利用を終え、少し形を変えた新しい課題を自力で行います。説明できない、最初の一歩が出ない、別の例に移せない場合は、完成した答えを増やすのではなく、課題を小さな段階に分け、手がかりを一つずつ使って学び直します。
生成AIは、存在しない資料を作ったり、実在する資料を内容の合わない主張へ結びつけたりすることがあります。[34.15] 引用の形が整っていることは、根拠が確認されたことを意味しません。
重要な主張では、まず元の資料を開きます。題名、発行者、日付、対象地域を確認し、その主張を支える箇所を実際に探します。危険や権利、健康、学校での処分などに関わる場合は、必要に応じて別の適切な資料を確認したり、先生、司書、分野の専門家に確かめたりします。別の対話型のAIに同じ質問をして同じ答えが出ても、独立した確認にはなりません。
危険度の判定、診断、正式な配慮の決定には使わない
一般的な対話型のAIは、学習上の困難を診断したり、正式な配慮を決めたりするものではありません。繰り返し生じる困難、コミュニケーション上の必要、障害に関係する壁があるときは、本人、先生、アクセシビリティや教育の専門家など、適切な人と個別に検討します。[34.1]
出力に性的、暴力的、差別的、支配的な内容があるとき、AIが会話の内容を信頼できる人に隠すよう求めるとき、自傷、危険な行為、違法なアクセス、個人情報の共有を勧めるときは、AIの利用を中断し、課題を脇に置きます。信頼できる人に知らせます。差し迫った危険がある場合は、お子さんがいる場所の適切な子どもの保護、危機対応、または緊急の窓口へ直ちに連絡します。AIに危険度を判定させたり、その返答を待ったりしません。
紙だけでも続けられる学習の流れ
インターネットやAIがなくても、同じ基本の流れを保てます。紙に最初の試みを残し、本や先生から手がかりを一つ得て、承認された資料と比べ、自分の方法で説明し、新しい課題を行います。書くことが負担なら、録音、絵、カード、身ぶり、AAC、口述を使えます。必要に応じて文字を大きくしたり、取り組む時間を長くしたりできます。重要なのは、特定のサービスを使うことではなく、自分で考えた跡と、答えや手がかりを与える助けなしでどこまで理解できるかを確かめることです。AACなど、伝えたり課題に取り組んだりするために必要な手段は、その確認でも使えます。
任意の補助資料として、「家族でAIを使って学ぶ」という記入シートがあります。利用前の4つの確認と、「試す、尋ねる、比べる、説明する、確かめる」の流れを整理できます。ただし、記入シートを開かなくても、この章の手順は紙や会話だけで実行できます。危険があるときは、記入や確認を終えるのを待たず、人による支援へ切り替えてください。
記入シート:parentingstagebystage.com/ja/shiito/kazoku-de-ai-o-tsukatte-manabu/
使い方
- 印刷して、勉強する場所の近くに置きます。このシートは、目に入るところにあってこそ役に立ちます。
- 最初の質問をする前に、大人がシートの4つのことを確かめます。このサービスとこの種類のアカウントを使う許可、お子さんがいる場所の同意・プライバシー・子どものデータについての決まり(サービスのプライバシーの設定も含みます)、この課題で学校が認めていること、そしてこのお子さんにその課題に取り組む準備ができているかどうかです。大人が見守っていても、年齢のルールがなくなるわけではありません。
- AIに何か聞く前に、まずお子さんが自分でやってみます。口で言う、絵にする、手話で表す、打ち込む、書く、どれでもよく、大まかなものでかまいません。
- 5つのステップを順番に進めます。最初は一緒に読むと進めやすくなります。声に出してでも、お子さんがふだん使っている方法でもかまいません。
- 最後の確認は飛ばさないでください。答え全体を支えている点を一つ選び、AI以外のところで確かめます。
- シートがなくてもできるようになったら、外してかまいません。
AIは、どんなに人のように話しても、友だちでも、カウンセラーでも、医師でもありません。お子さんが自分の気持ちをAIに打ち明けているなら、人と話してみる価値があります。そして、答えに動揺したり、個人的なことを求められたりしたら、シートを終わらせるのではなく、そこでやめて信頼できる大人に伝えるのが正しい対応です。いますぐの危険があるときは、お子さんがいる場所で、その時点で使える、子どもの保護を担う公的な窓口か緊急の窓口を使ってください。
画面でシートを見る
白紙のシート
やってみる・聞く・くらべる・説明する・確かめる
小さな学習の課題に、一緒に使ってください。対話型のAI(人工知能)は、もっともらしく聞こえて、実は間違っている答えを出すことがあります。目標は課題を終わらせることだけでなく、理解することです。AIの代わりに、本や先生の説明を使っても、同じように取り組めます。
AIに最初の質問をする前に、4つのことを確かめる
学習に使う前に、4つのことを一つずつ確かめてください。
確認1(利用の許可):このお子さんは、このサービスを、この種類のアカウント(本人のもの、親のもの、学校が用意したもの)で使うことを認められていますか?
確認2(プライバシー):お子さんがいる場所で現在有効な、同意、プライバシー、子どものデータについての決まりは、何を求めていますか?
確認3(学校):先生や学校は、この課題でAIを使うことを認めていますか。認めている場合、AIの助けを借りたことを、どのように伝える決まりですか?
確認4(準備):このお子さんは、課題の内容、そのAIサービスにできないこと、そして受けられる大人の手助けを理解できますか?
提供元の利用規約にある年齢は、子どもの発達の段階を示すものではありません。その地域の法律、学校の許可、そのAIがそれぞれの子どもとその課題に合っているかどうかを決めるものでもありません。大人が見守っていても、年齢の決まりがなくなるわけではありません。認められた活動なら大人自身が行えるからといって、大人のアカウントや認証情報を子どもに渡すべきではありません。
4つのことを確かめて、一つでも問題があるときは、ほかの本当の選択肢を選んでください。本、先生、電卓、図書館の資料、話した言葉を文字にする機能、印刷した解き方の例、大人が進める活動などです。AIの利用が認められていなくても、子どもが同じ学習の目標に取り組めるようにしてください。プライバシーや子どものデータについての決まりを満たすアカウントがない、そのサービスが、お子さんの使える形になっていない、必要な機器や通信環境がない、家族が使わないと決めた。こうしたときは、AIを使わない方法を選んでください。
名前、健康の記録、学校のIDや番号、個人的な会話、画像、ほかの人のまだ公開されていない作品は、入力しないでください。
今回の学習の問い
5つのステップ
この順番で進めます。どのステップも、書く、言う、絵にする、やって見せる、合う方法でかまいません。
①やってみる
②聞く
③くらべる
④説明する
⑤確かめる
確かめられなかったら、次に聞くこと
前よりよくわかるようになったことを一つ
下書きと、AIを使ったことの伝え方
学校の課題を始める前に、どんな手助けなら認められているかを聞いておきます。意味のある下書きとメモは残しておきます。AIの助けを使ったことは、先生が求める形で伝えます。短い記録なら、たとえば「認められているツールに、見出しの案を3つ出してもらいました。そのうち一つを選んで本文は自分で書き、挙げた資料で年代を確かめました。」のように書けます。伝えるときは、AIが実際にしたことをそのまま書きます。ツールを作者のように扱うことも、子ども自身がしたことを隠すこともしないでください。
人に交代すべきとき
AIの答えが、性的、暴力的、差別や憎しみをあおる、無理に従わせようとする内容だったり、秘密にするよう求めたり、個人的な情報を求めたりしたら、そこでやめて、信頼できる人に入ってもらってください。自傷、危険な行為、不正なアクセスをすすめてきたときも同じです。いますぐの危険があるときは、お子さんがいる場所で、その時点で使える、子どもの保護を担う公的な窓口か緊急の窓口を使ってください。このシートは、危機のときに使う道具にも、処分を決める手続きにも、診断のための検査にも、法的な意見にもなりません。
答えを見ていやな気持ちになったり、個人的な情報を求められたりしたら、やめて、信頼できる大人に話してください。このシートを終わらせるために、ツールを使い続ける必要はありません。
このシートがしないこと
- カリキュラムではなく、教科を教えるものでもありません。取り組む順番を示すだけです。
- あるサービスがお子さんやこの課題に合っているかどうかは、判断できません。それは、最初の質問をする前に、大人がシートの4つの確認で判断します。その中には、このお子さんにその課題に取り組む準備ができているかどうかも含まれます。一つの確認に問題がなくても、ほかの確認の代わりにはなりません。また、提供元の利用規約にある年齢は、子どもの発達の段階を示すものではありません。
- 文章がAIで書かれたかどうかは、わかりません。判定ツールどうしで結果が食い違うことがあり、子どもが自分で書いた文章をAIによるものと判定することもあります。子どもについてそれを間違えるのは、重大なことです。
- 5つのステップを全部終えても、答えが正しくなるわけではなく、学んだことが身についたという意味でもありません。一つの点を確かめてわかるのはその点のことだけで、答えのほかの部分のことはわかりません。
- 宿題についてのルールではありません。お子さんの学校が何を認めているかは、学校が決めることです。推測するより、学校にたずねてみてください。
プライバシー・出典
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このシートの出典
- AI competency framework for students
UNESCO. 学校のカリキュラムで生徒がAIについて学べることを、段階のある能力(コンピテンシー)として整理した、背景となる情報です。学びの流れ(順番にくり返す手順)の組み立ては、このシート独自の工夫です。
- Guidelines on the ethical use of artificial intelligence and data in teaching and learning for educators
European Commission. 教えることと学ぶことの中で、AIとデータを倫理的に使うことについての、背景となる情報です。受けた手助けを隠さずに伝えることは、このシート独自の決まりです。EUの教育者に向けて書かれたものです。
- Health advisory: Use of generative AI chatbots and wellness applications for mental health
American Psychological Association. 「AIアシスタントは人ではない」という考え方の、もとになった文書です。
- Generative AI and child safety
NCMEC. AIで作られた画像や、画像を使った脅しについて、人が対応する窓口を名指しで案内している理由です。